― 10年前の涙の理由 ―

10年前の涙の理由
これまで1万人を超える親子に関わってきて、今でも思い出すママがいます。
それは、10年前に関わったリトミックの生徒さま、Jくんのママ。
Jくんはおめめのくりくりした元気いっぱいの男の子。
体力もあって好奇心の塊で、いつもスタジオの中を走り回っていました。
….そう、
時々お部屋のものをなぎ倒してしまうほどに。
時々、ピアノをかき鳴らしたり鬼ごっこをしたくなったりしてしまうほどに。
当時私は先生になって駆け出しのころ。
たびたびレッスンにならない状況に、
なんとかJくんが音楽を聴いて楽しめる方法を模索しました。
元来とっても素直で音楽に合わせて自己表現するのも得意なJくん。
Jくんの気持ちをもっと知りたくて私はさまざまなものを学びました。
気質心理学、発達心理学、行動科学、コーチング、モンテッソーリ教育など。
そしていつしかJくんはレッスンに集中できるようになり
レッスンもみちがえるようにうまく進むようになりました。
お引越しのためにレッスンをご退会されることになったその日、
私は一輪のお花をJくんにプレゼントしてお母さまに言いました。
「チャレンジ精神にあふれているところ、
主体性と好奇心でいっぱいなところ、
素直で行動力のあるところ、
Jくんの宝物ですね」と。
なにげなくかけたその言葉。
その瞬間、
ママのお顔がくしゃっと歪んで涙をポロポロ流してこうおっしゃったのです。
「今までそんな風に褒めてくれる人は誰もいなかった。
どこに行っても迷惑がられ、叱られ、
そのたびに私のしつけのせいだと自分を責めてきた。
今初めて救われました。
本当にありがとうございます」と。
想像していなかったその展開に
思わず私もママの肩をさすって涙ぐみました。
これまでどれだけ肩身の狭い思いをひとりで抱えてこられたんだろう。
幾度の夜をひとりでうずくまってやり過ごされたんだろう。
その日が、私の出発点です。
私の言葉一つで誰かの悲しい涙を嬉し涙に変えられるなら
そこに全身全霊を捧げていこうと思ったその日から、
私の使命は決まりました。
教室運営はもちろん、子育て講座、講演会、セミナー、ラジオ出演などの活動すべて、
目的はひとつ。
それは、子どもがのびのび育つ社会を創ること。
その核となるママや子どもに関わる先生をサポートすることです。
2025年もあと50日になりました。
ふと今年を振りかえり、来年の目標をなんとなく考えながら。