― 『気質を知る』 ―

生まれたての赤ちゃんが並んでいる新生児室。いつ見てもすやすや寝ている赤ちゃんもいれば、絶えず目を覚まし、手足を大きく動かして泣いている赤ちゃんもいます。同じ寝具、湿度、温度のお部屋なのに、赤ちゃんはみんな同じように過ごしているわけではありません。不思議に思ったこと、ありませんか?
人はみんな生まれながらの気質を持っている
気質心理学によると、ひとはみんな、生まれながらの気質というものを持っています。気質とは、生まれながらに持っている個性のこと。生まれつきおとなしく穏やかなタイプもいれば、元気いっぱいのわんぱくタイプもいるのです。
気質に良し悪しはありません。大人(親や先生)がその子それぞれの気質に合った声かけや対応をすることで、その子の可能性を最大限に引き出してあげられます。


子どもが小さいほど、気質を知って子育てすることが肝要です
気質は、子どもが小さければ小さいほど、その性格を成す要素の多くを占めます。生まれたての赤ちゃんでは100%、3歳児では70%と言われます。大人になるにしたがって、後天的な環境によって影響を受けた要素の方が多くなります。(大人では性格を形作る30%が気質に起因するもの、70%が後天的に形成されるものと言われています)
ですから、小さい子どもであればあるほど、全面に出ているその気質を見極め、その子に合った対応が効果的なのです。
子どもへのレッスン指導の実例:声かけ次第で心は動く
例えば元気いっぱいでやんちゃなわんぱくタイプ。リトミックのレッスン中でもピアノを触りに来たり、音楽とは関係なく走り回っているお子さんはたくさんいます。ママが「どうして先生の指示を聞かないの?」「お利口にしなさい!」と口を酸っぱくして言いきかせても効果がなく、手をこまねいていることも多いかもしれませんね。
このタイプは触覚優位。つまり、言葉だけの指示で長々と言いふくめても、右から左に抜けていることが多いのです。話をよく聞かせたいときは肩や手首を触って伝えるとはっと我に返ります。加えて、長いフレーズではなく、短くシンプルな表現で理解度が増すという特徴もあります。
競争心も旺盛なので、「誰が先にママのお膝の上で待っていられるかな?」なんて声をかけると、誰よりも早くママの元に戻り、誇らしげな表情を浮かべてじっと待っていてくれていることも少なくありません。好奇心も人一倍強いタイプ。ひとりずつ丁寧に楽器を配りたいけれど我先にと取りに来てしまうようなケースが想定される場合に私がよく使っている方法です。
一方で、ものごとを言葉で論理的に説明され、納得がいかないと行動に移せない子もいます。言語能力、理解力、思考力が高いタイプは、シンプルな物言いよりも、ものごとの因果関係を知りたいという知的欲求が高いため、「壊れやすい楽器だから、ママと一緒に、丁寧にそーっと、両手で受け取ってね」というように、言葉を重ねて腑に落ちる説明をしてあげたほうがスムーズに行動に移せます。


子どもの困った行動は、しつけのせいではない
もしママが子育てで悩んでいることがあるとしたら、それはママのしつけが悪いのでも、ましてその子が悪いのでもありません。視点を変えればそれはその子の長所でもあるはず。例えば行動力があって好奇心旺盛な証拠でもあったりするわけです。
気質を知り、色んな角度でわが子を見るヒントをママが持っていれば、子育てはぐんと前向きに変わります。わが子にフィットしたアプローチを知れば、その才能の芽を摘みとってしまうことなく、引き出し伸ばしてあげることができます。





私の使命は子どもをのびのび伸ばす社会を作ること。
気質は、すべてのママ、先生に知ってほしい知識です。